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"カフェ代だけですみませ〜ん!!"

Profile

【レディシロウ& 谷口シロウ

名古屋市生まれ。蠍座のA型。

東京造形大学絵画科・抽象コース卒業。企画デザイン事務所に4年間勤務後、フリーのイラスレーターに。フロムAアート展優秀賞、ソニークリエイティブグランプリ銅賞、グラフィック展、イラストレーション展、チョイス展など入選多数。現在は広告、雑誌、装丁、WEBなどの媒体にイラストを描くほか、キャラクターやシルバーアクセサリーの制作なども。その合間をぬって、もうひとつの人格、髭女装=レディシロウに変身!

 

"髭レディ"、ポスターに現る!

 はじめて髭女装をしたのは、2011年10月に参加した企画展「ポスターを描く2」のときです。この年の3月に起こった震災の影響で、社会全体が暗く落ち込んでいました。そこでコンビを組んだデザイナーの川名潤氏と、ポスターを通して、見てくれる人たちが楽しく、元気になる表現が何かできないだろうかと考えていたんです。その中で、僕が女装するという案が出て…。

 

 2人で構想を練るうちに、"ただの女装じゃつまらない、髭はそのまま残して、性差を超えた存在を表現しよう!"というコンセプトに決まりました。髭と女装…ギャップがあるほうが見る側のほうも面白いんじゃないかと思って(笑)

 

 その後、協力してくれるスタッフのみんなで、ウィッグや化粧品、衣装、ハイヒールなどを準備し、髭女装の実現に向けて進めていきました。撮影当日はヘアメイクさんが2人もついてくれてのぞみ、最終的に、僕が描いたイラストと写真を合成してポスターが完成(右写真)。ジェンダーに関心の高い川名氏の奥さんのアドバイスで、ポスターの下にフランス語で、ボーヴォワールの『第二の性』の有名な言葉「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」を記しました。"女性らしさ、ひいては男性らしさというものは、社会的につくられた約束事に過ぎない"という意味を、このポスターに込めたんです。

#1 ゲスト:レディシロウ(LADY SHIROO)さん

    なぜ髭女装をするのですか?

 
私のFacebookの友達の中から、毎月お一人にスポットを当て、インタビューするこのコーナー。低予算の個人
ブログのため(>_<)、カフェ代だけで了解してくださる心の広〜い皆様に、気になる "あのこと"について伺います。
第1回目のゲストは、「あの人は何者?」という問い合わせの多い(笑)、髭女装家のレディシロウさんです!
 
 

好奇心インタビュー

髭女装のきっかけになった「ポスター展」の作品(川名潤+谷口シロウ)

©レディシロウ

レディシロウは現代の救世主!?

 ポスター展で髭女装のテーマも決まりました。それは『心の解放』『差別 偏見なき世界』の実現です。知らないことからくる誤解、差別、偏見、そしてストレスから抑圧されて小さくなった心…。それらを解放するために、それぞれが、その人らしく生きていける社会、世界が来ることへの願いを込めました。

 

 ポスター展が終わったあとも、このテーマをとなえていくことを自分のミッションとして、髭女装を続けることにしました。今後のパフォーマンスにつなげていくために、髭女装のネーミングをFacebookやブログをはじめ広く募集し、最終的に自分の男性名のシロウとレディを合わせたレディシロウに決定しました。

 

 この恰好で街を歩くと、僕が近づけば逃げ出す人ももちろんいます。でも、「なんでそんな恰好しているの?」と、見ず知らずのおばさんや若者たちが話しかけてくれる。子どもたちが不思議そうな顔をして見る。髭女装は普段の僕の生活ではまったく知り得ない人たちとふれあう機会を与えてくれます。そして年齢、性別、職業、国籍…そんな垣根を軽く跳び越え、世の中にいろんな人たちがいることを教えてくれるんです。

 

 面白いことにこの恰好でいると、周りの人たちがいろんなことを話してくれます。たとえば日々の悩みを打ち明けてくれたり、自分がレズビアンやゲイ、性同一性障害であることをカミングアウトしてくれたり…。髭女装が男でも女でもない、何だかよくわからないけれどちょっと笑っちゃうような存在であることが、きっと話しやすさにつながるんでしょうね。

 

 髭女装を始めたころは、自分の性に対して、完全なノーマルとは言えないのかなぁと思っていた程度でしたが、レディシロウになってからは、だんだん自分の性がわからなくなり、ゲイでもバイ(セクシュアル)でもロリコンでもない、それらに近い何かを探る日々が続いているという感じです。女性の大変さや気持ちも少しわかった気になっていましたが、まだまだです。奥は深いです(家族にもそんなに甘いものじゃないと言われます〈汗〉)。

 

 

                    

                

 

Release of the mind.

 

The world without discrimination.

 

         -----by LADY SHIROO

 

            『心の解放』『差別 偏見なき世界』

 

©レディシロウ

●レディサロン&シロウサロン

http://shiro460.exblog.jp

●谷口シロウイラストレーション

http://460s.com

インタビューを終えて

 

 谷口シロウさんとはお仕事を通じて知り合い、6年ほど経ちます。素顔の谷口さんは、イラストレーターとして第一線で活躍され続けているにもかかわらず、いつも腰が低く、優しく、人に対してとても気配りをされる方。アーティストとしての研鑽を怠らず、今風に言えば、マジ、リスペクト!(笑)、大好きな尊敬するアーティストのお一人です。

 

 実は今回のインタビュー、当初、男性の谷口シロウさんに、レディシロウさんについて語っていただくという構成で考えていました。でも谷口さんから、レディのほうが話しやすいと伝えられ、中野で待ち合わせして散策しましょうというご提案もいただき、急遽構成を変更! 撮影に自信はなかったのですが、被写体のインパクトがあまりに強いので(笑)何とかなるかとフォトセッションを敢行した結果、面白い構成になったと思います(自画自賛!? いえいえ、谷口さんのお陰です^^)。

 

 今回の取材で、谷口さんが一人っ子で、ご両親が教師だったこと、小さいころから意識的に親が喜ぶ行動をとり、こうあらねばならないと自分の行動を制約してきた時期が長かったことなどをお聞きしました。そんな谷口さんが、今、レディシロウになり、髭女装で街を歩くパフォーマンスをするには、年を重ねても相当な覚悟が必要だったと思います。その一方で、自分自身がまさに作品であるレディシロウに、アーティストとしての新たな可能性を見出し、さまざまな実験を重ねることを楽しんでいる、そしてときに苦しんでいるようにも見えます。

 

 

 

7月某日 レディシロウさんとフォトセッション@中野 撮影/タバチエ

今後のレディシロウは?

4月6日は"レディシロウの日"!

 3月3日の女の子の日と、5月5日の男の子の日に挟まれた4月6日を、レディシロウ(→46)の日として、今まで2回、渋谷でイベントを行いました。Facebookやブログなどで告知し、当日は来てくれた友人たちや通りかかった人たちも含め、いろんな人と話をしたり、フォトセッションになったり…。今年は特に天候が悪かったため、建物の敷地内で待機していたので、警備員といろいろもめましたが、けんかしながらもじっくり話して、最後には仲良くなりました(笑)

 

 レディシロウとして、イラストレーターの友人たちの作品を見にギャラリーへ行くこともあります。絵画の専門学校に呼ばれて話をしたり、美大の学生の卒業制作にモデルとして協力したこともありました。また、カメラマンとヘアメイクのチームで定期的に街へ出かけ、ポートフォリオ〔作品集〕をつくる作業もしているので、そのうち発表する場を持てたらと思っています。

 

 実は今までに2度ほど、マスコミ関係に声をかけられたことがあります。一つは市井の変わった人?を紹介するテレビ番組への出演依頼、もう一つは芸能事務所への勧誘です(笑)。そこの社長さんから、レディシロウに何か付加価値をつけてデビューさせたいと思って考えたけれど、それが何かわからないと言われたんです。こちらもわからないので、それがわかったらご連絡くださいと伝えておきました(笑)。テレビ番組のほうにも、自分がどういう立場で出演したらよいのかわからないので、結局お断りしました。あと面白かったのは、海外のドラッグクイーンコンテストに誘われたことがありましたね。それは意味が違うとお断りしましたけど(笑)

 当初レディシロウは、人混みの中に男でも女でもない、しかもその両方である生きたオブジェを歩かせることで、『心の解放』と『差別、偏見なき世界』の実現をとなえることをミッションとしていました。そして多様な人たちの生き方を認め、共存を促すために、ちょっと変な"髭女装"のレディシロウは、自分にとっても他人にとっても、少し心をほぐし、少し脳を活性化できる存在になればと思っています。

 

 今でもそのミッションに変わりはありませんが、レディシロウを始めて間もなく2年が経ちます。これからどんな場、どんなパフォーマンスでそのミッションを発展させていくか、それが目下の課題です。ニーチェの言葉に「心の力を解放せよ」というのがあります。ニーチェって何に対しても深くて真剣で、力が入っているんですよね。でもまだニーチェの言う「心の"力"」の意味はよくわかりません。レディシロウのテーマである「心の解放」に、ニーチェの言う、この"力"が加わることが、何か次につながるヒントのような気がしているんです。

美味しいパンケーキの店でしばしレディス・トーク 撮影/レディシロウ

訪れた店:j.s.パンケーキカフェ 中野セントラルパーク店 

 

 谷口さんは一見、優しい方なので、ついその前であぐらをかいてしまいそうになりますが、ご自分にレディシロウのミッションを課したように、特に仕事に対して、自分にも他人にも、厳しい目をお持ちだと思います(もちろんそんなことは微塵も感じさせませんが…)。谷口さんと近いところでお付き合いさせていただくためには、自分自身の能力を常にブラッシュアップし続けなくてはいけないと思うとともに(根性なしの私にはかなり難しいですが…>_<)、そう思わせてくれる谷口さんのような存在が身近にいてくださることを、とても有り難く感じます。

 

 これからも谷口シロウさん、そしてレディシロウさんのパフォーマンスを応援していきたいと思います!(*^_^*)

 

 

 

上)2012年に行った"レディシロウの日"の告知

下)2013年の"レディシロウの日"に配ったミニブロマイド

©レディシロウ

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